アップグレードコンセプトについて
前作の細部バージョンアップではなくアップグレード版として開発した『タクティクスチャレンジv2』におけるコンセプト、その最重要課題は「作品の完成率を上げる」です。
ユーザーの皆さんがご友人向けに作っている作品などは(ツールソフトの開発側も)目にする機会がないこともあり「作品の完成率」という数字を具体的に目の当たりにすることはほとんどありません。しかし、頂戴するおたよりの内容等から判断すると自社・他社製品を問わずゲーム制作ツールの作品完成率は高くないと認識せざるをえません。そう認識したうえで『タクティクスチャレンジv2』は少なくとも現状より「作品の完成率を上げる」「今まで作品を完成させられずにきたアマチュアクリエイターをひとりでも多く作品完成に導く」ことを目標として設計を行ないました。
また、「完成率を上げる」というコンセプトに付随して「機能を縮小しない」「完成経験のある人にとってもプラスになる」という2点に注意を払っています。実際、機能を縮小しないどころか膨大な数の新機能・新設定項目が追加されています。しかし、主にエディター上の機能配置などの工夫により「全貌を見渡しやすくシンプル(に見える)」「熟練者が深く触ろうとすれば奥深いことがわかる」という構造になっています。

データ編集では一覧性を重視しデザインを一新。深い部分は別ウィンドウで設定できます。
重点拡張ポイント1:「世界を作る」を前面に

既読トピックを一覧で確認できる機能も実装。
本作ではゲームの土台となる「世界観の表現」を重視し、インターフェース改善、新要素追加の優先度、ガイドにおける解説などにおいてユーザーの皆さんが「世界を作る」ことを強くバックアップできるよう注意を払っています。
また「世界を作る」ことをゲーム制作の節目となる目標、着地点のひとつとして捉えています。制作するゲームの規模、最終的なゴールを迎える難度設定はユーザーの皆さんのアイディアの大きさによりますが、土台となる世界の表現は誰もが手軽にでき、かつ前作より表現力を高めることでこだわりを発揮できるようになっています。
例えば本作には「トピック」という新設定要素があり、街などのエリアで噂話を聞けるようになりました。トピックはテキストとアイコンを設定するだけの手軽な要素ですが、噂話を聞いてからでないと発生しないクエストを設定したり、いつでも見られるゲーム内チュートリアルとして活用することもできる応用が効く要素となっています。トピックを設定することで世界の表現力が高まるだけでなく、字幕シーンやクエストの戦闘前後イベントを作る量を減らすことにもつながります。
重点拡張ポイント2:抽象化による作業負担の軽減

染色世界地図を背景にする新機能と相性○。
リアリティーの追求や「より具体的であろう」とすることがゲーム制作における作業負担の増大を招いていると考え、本作では作業負担軽減のため「抽象化」を重視した要素を取り入れています。もっともわかりやすい例はバトルフィールドで使用できるブロックセット用画像「チェスマップ」の収録です。
「チェスマップ」はその名のとおり、チェス盤のようなバトルフィールドを作るために使うマップパーツです。草原や森林や洞窟といった「具体的」なマップパーツも収録していますが、これらの具体的なマップパーツを利用してバトルフィールドを作るのにはけっこうな手間がかかります。市販ゲームなどでも稀に(?)ありますが背景などビジュアル面にばかりこだわり、本質的なゲーム内容がお粗末になってはいけません。そこで「ただの背景が具体的である必要はない」という割り切りができる方のため、手早くバトルフィールドを作れるよう収録することになりました。本作でのゲーム制作の中心はバトルでありクエスト制作が作業の大半となりますが、開発スタッフはバトルフィールドの準備に時間をかけることが「制作のつまづき」と感じられることを認識しています。最終的にはチェスマップを採用しない作品を作る場合でも「とりあえず下書きとして利用する」ことができる、多くの方に活用していただけるマップパーツです。
重要拡張ポイント3:独自ゲームバランスに対する自由度の拡大

種族に特徴を出すことでも個性を発揮可能に。
前作は主にバトルについて「テストプレイをあまりしなくても一定のゲームバランスが保たれるよう」に設計されていました。具体的には、HPやMPの上昇量が体力などの基礎能力値により固定されていたこと、アビリティの威力設定などが規定の枠内で設定するようになっていたこと、曖昧な設定でもNPCが融通をきかせた行動を行なっていたこと等です。
しかし逆に「ユーザー独自のバランス調整を行ないたい」「ゲームバランスの枠を超越した要素を導入したい」という熱意には応えにくく、規定されたゲームバランスの枠を越えにくいという熟練者にとってデメリットとなる問題がありました。本作ではこのデメリットの解決策としてゲームバランスに関する設定要素を大幅に追加し、数値設定範囲の拡大やNPC行動設定の一新を行なうことでユーザー独自のゲームバランス設計をしやすくなっています。
前作のプロジェクト:読み込み可能
前作で使用していたプロジェクトを本作で読み込み、使用することが可能です。ただし一部廃止された機能や、本作で追加された新機能に関して新たに設定をしなおす必要があります。
なお一度本作で読み込んだプロジェクトを前作で読み込みなおすことはできません。必ずバックアップを保存しておくようにしてください。