第1回 ワールマップデザインガイド
ゲームの土台となる世界地図を描き、歩いてみることができるようにします。
Step 1 惑星全体規模では広すぎなので「地域」を表現
 タクティクスチャレンジv2のワールドマップは1画面サイズですから、「7つの大陸からなる世界、惑星ナントカ!」のような大規模マップを表現するのには無理があります。作りたいゲームについて広い世界全体の構想があるとしても「今回のゲームで舞台となる地域」は限定すべきです。できあがった作品を遊んだ人から「続編として他の地域も遊ばせて!」と言われたら次回作で登場させるために今回は出し惜しみする、と考えても良いでしょう。
まずは海陸層に陸地を配置して全体像を決めます。あとで地形を変更するかもしれないので、海岸線など細部には手をつけません。手を着けると二度手間になります。カクカクなのは気になりますがガマンして作業を進めましょう。この作業はほんの2・3分で終わる簡単なものですが「どこまでを地図で見せよう?」と悩むとけっこう時間が過ぎるかもしれません。
Step 2 エリアと道をひととおり配置
 ゲームに登場する街やバトルが発生するエリアを作成し、地図上に配置します。ゲーム開始の街からラストダンジョンまで、ゲームに登場するエリアをすべて洗い出し、必ず配置しましょう。ワールドマップをデザインするにあたってとても重要なことです。
エリア編集ウィンドウを開き、必要なエリアを作成します。名前、アイコン、説明文、3つのチェックボックスをとりあえずONにするだけにしておきましょう。まずはひととおりのエリアを揃え、地図上に配置してみることが大事です。
デザインツールで描画層「道/エリア」→配置要素[エリア]を選択すると、エリアリストが有効になります。エリアを選んでデザイン領域(地図)上でマウスの左ボタンを押すとエリアが配置されます。
エリア作成と配置を必要なエリアのぶんだけ繰り返します。エリア名と別のエリアのアイコンが重なってしまわないように注意が必要です。また画面の上下端付近にはリードメッセージやエリア情報などが表示されるので、端にはエリアや道を配置しないようにしましょう。
主人公の移動ルートを決めるため、道を配置してエリアとエリアをつなぎます。ゲーム中にも表示される普通の道は黄色、ゲーム中に見えない隠し通路はピンクで表示されています。
ひと手順前はエリア名が道に被ってしまうところが多かったのでエリアの位置と道をちょっと修正。直線的な道は近代的でわざとらしいので、不必要でもちょっとクネクネさせたほうが「それらしく」見えます。エリアと道の配置はあまり悩むこともないので(よほどエリアの数が多い場合を除いて)30分もかけずに終わる作業です。
Step 3 ブラッシュアップして地図完成へ
 エリアと道を配置したら、ワールドマップを完成させていきます。まだとりあえず描いた地図に必要なエリアと道を配置しただけの下書きなので全体のバランスが取れていません。カクカクも気になりますし、全体をブラッシュアップしていきましょう。
Step2の画面写真を見るとエリアが画面右側に偏っているのが気になります。デザインメニューから[全体移動(ソフト)]を実行するとマップ全体を上下左右に動かせます。この作例ではちょっと左に動かすことにします。
あとはビジュアル的に地図をキレイにしていきます。まずは描画層「海陸」で陸地を海岸線で囲みます。デザインメニューから大雑把に設定することもできますが、手作業で細かいところにこだわったほうが楽しい (重要)です。続けて「地表」層で砂漠や森林などを「山/森」層で山地や木々を配置していきましょう。すべての作業を丁寧に行なうと1時間くらいかかるかもしれません。
標準初期プロジェクトでは古地図タイプの世界地図スキンが設定されているので、好みに合わない場合はスキンを変更しましょう。[標準/独自]を1回クリックすればシステム標準ファイルで設定されている春タイプのスキンにできます。ここではシステム標準ファイルの正方景に登録されている夏タイプのスキンを一度ファイルに保存し、[設定]でそのファイルを指定しています。
描画層4層ぶんの要素をひととおり揃えるとワールドマップは完成です。ゲーム的な都合で先に道やエリアの場所を決め、あとから周囲に森や木々、山地を配置しているところがポイントです。
Step 4 テストプレイの準備
 できあがったワールドマップに本当に問題がないか歩いて確認する必要があります。テストプレイを行なうための準備をしましょう。
テストプレイをするためまずは主人公が最初にいる場所を決めましょう。ここでは「はじまりの村」をスタート位置にしたいので、はじまりの村の位置で右クリックして座標を選択し、そのあと作品メニューから[世界地図スタート位置]を実行します。
標準初期プロジェクトとして作成した場合、オープニングが設定されているので解除しておきましょう。テストプレイをするたびにオープニングを見ることになると無駄に時間がかかるので、ゲーム制作の終盤までオープニングを設定すべきではありません。
時期値によって表示されるリードメッセージを指定します。といってもまずはワールドマップの全貌を見渡すことが目的のテストプレイなので、リードメッセージを表示しないようにします。時期値をすべて消しておくと良いでしょう。
エリアで見られるトピックも不要です。あるいはエリアごとに「ここは○○の街だよ」といったウェルカムメッセージをひとつだけ指定しておいても良いかもしれません。
Step 5 テストプレイ実行
 プロジェクトメニューから[テストプレイ]をクリックすると、ゲームシステムが起動しテストプレイを行なえます。
デザイン中と見た目に大差はありませんが、問題がない証拠です。エリア設定で「既知」をONにしていないとエリアが見えなかったり、そのエリアより向こうの道が見えなかったりします。道を歩いていって、すべてのエリアを訪れることができれば最初のテストプレイは成功です。
隠し通路のテクニック
 作例では「謎の巨大クリスタル」へ至る道を隠し通路扱いにしていますが、ここにちょっとしたテクニックが使われています。隠し通路といってもプレイヤーに見つけてもらうことで「プレイヤーに発見の喜びを感じてもらうこと」や「隠し通路の先にあるエリアへ到達してもらうこと」が目的になるなら、本当に隠してしまってはいけません。画面上に「まだ行けないけど将来行けるようになる場所が見えている」という『ドラゴンクエスト』の竜王の城のようなものだとプレイヤーに勘違いされると「どうせまだ行けないんだろうから道を探したりしないぜ!」と考えてしまい、隠し通路の先にあるエリアへ到達してくれない可能性もあるのです。
 そこで作例のワールドマップでは隠し通路を簡単に見つけてもらうために「隠し通路の入口を普通の通路の延長線上に配置する」というテクニックを利用しています。左下の画面写真にあるように南から北へと北上するときは隠し通路に気付きませんが、右下の画面写真のように北から南へと南下するとまっすぐそのまま隠し通路に突入していくことになり、わざわざ探さなくても隠し通路の存在に気付いてもらえます。
北にある漁村からの帰り道、中央都市へ戻る時点でプレイヤーは不意に隠し通路に入ることでしょう。帰り道に巨大クリスタルへ行けることをトピックとして設定しておけばさらに確実です。
衝突音がするまで西へ進み、そのまま北へ行くのが北上の際の移動ルートに。巨大クリスタルが気になる「慣れた」プレイヤーなら隠し通路を探すかもしれません。